Q40)コーポラティブハウスってなに?

A40)
「コーポラティブハウス」って聞いた事ありますか?沖縄ではあまり聞きませんよね。内地では既に幾棟ものコーポラティブハウスが建設されていて、阪神大震災後の復興にも採用されているそうです。
 私の事務所では現在コーポラティブ方式のマンションの相談が来ています。沖縄にもとうとう来たかコーポラティブハウスなんて思いつつプランニング・・・。
 ではこの「コーポラティブハウス」ってなんでしょう?設計事務所の中にも聞いた事はあるが、詳しくは知らないと言う所が多いのではないでしょうか!?

 定義を記します。
『自ら居住するための住宅を建設するものが、組合を結成し、協働して事業計画を進め、土地の取得、建物の設計、工事発注、その他の業務を行い、住宅を取得し、管理していく方式』
とされています。(「コーポラティブハウス 21世紀型の住まいづくり」学芸出版社より抜粋)平たく言うと『定型規格型のマンションを購入するのではなく、戸建て住宅を建てるように自分の住居を作りたい人が集まって、協働してマンションを作っていく方式』とでも言ったら良いでしょうか。

 この方式はとても興味深く、建設コスト面ですと分譲マンションを購入するより少し割安で住居を手にする事が出来たり、建設前から皆顔見知りなので、空き巣等への防犯性が高いなどの効用があったり(以前防犯については記載したのでここでは理由を割愛します)、マンションの自宅を自分色に手に入れられる以外の様々な効果があるようです。デメリットとしては、出来合のマンションを購入する訳ではないので、時間がかかることです。また、建設前の段取りなどもあります。

 例えば、参加者からなる建設組合を作り、様々な決め事をして行く。建設組合は完成後に管理組合となりマンションの管理体制に組み込まれます。「組合!?」面倒くさそう。と思うかもしれませんが、今までの事例では同じ志しの人が参加するので、面倒ではないようです。体験談等を読むと結構皆さん楽しんでいます。また、このようなプロセスが、入居後のアットホームなコミュニティーに繋がって行くんだと思います。組合についても、既存の分譲マンションでも管理組合などありますから、コーポラティブ独自のものでもありませんしね。

 定義には『自ら・・・設計・・・工事発注・・・』とありますが、当然専門家でもない人達ではできるわけありません。ですから、組合として設計事務所へ委託したり、コーディネーターに委託したりして、建設して行く訳です。
 紙面の関係でかなり略式説明になりますが、この方式は実は1建物だけに有効なものではなく、寂れた商店街の活性化や、地域活性などの地区計画、しいては、都市計画にも利用可能で、その事例は国内外幾例もあります。(実は、都市計画上のシステムを、1建物に転用したのではないか!?とさえ思えるくらいです)

 知人の建築家と飲みながらコーポラティブの話しをしていたら「沖縄の住宅は皆コーポラティブハウスだよ!」と。考えてみるとそうかもしれません。地縁血縁しいては向こう3軒両隣顔見知りと言う地域環境が色濃く残っていますしね。コーポラティブ方式はそれをシステムとして確立し、円滑に実行出来るようにしたものと言えるかもしれない。なんて事を先輩建築家と飲みながら談笑しつつ、きっとコーポラティブハウスの参加者達も、作る過程でできたしなやかな人間関係の中で、皆で飲みながら(!?)これから出来る自分の家、みんなの家に思いを馳せ、完成後も楽しいコミュニティーを継続しているんだろうなーなんて、思っていました。

<2005年2月執筆>